「うちの子、英語が嫌いみたい」
「英会話に行きたがらなくなった」
「何度やっても単語を覚えないし、英語に向いていないのかも……」
子どもが英語を嫌がるようになると、親としては心配になりますよね。
でも、英語を学ぶ子どもたちを見てきて、ボクはときどき思うことがあります。
その「英語嫌い」、本当に英語そのものが嫌いなんだろうか?
英語を書くのが嫌なのかもしれない。
知らない人と話すのが嫌なのかもしれない。
習い事に行くことで遊ぶ時間が減るのが嫌なのかもしれない。
あるいは、「ちゃんと答えなきゃ」と試される感じが嫌なのかもしれません。
この記事では、「英語嫌い=英語に向いていない」とすぐに決めるのではなく、子どもが何を嫌がっているのかを一緒に考えてみたいと思います。
この記事について
この記事では、英語学童の運営を通して子どもたちを見てきた経験と、ボク自身の海外生活で感じたことをもとに、
・子どもが本当に「英語そのもの」を嫌っているのか
・英語を嫌がるときに親が見ておきたいこと
・その子に合った英語との触れ方の探し方
・小学生のうちにボクが大切にしたいと思っていること
を紹介します。
「英語が嫌い」と「今のやり方が嫌い」は同じじゃない
子どもが、
「英語やだ!」
と言ったとします。
そこで大人はつい、
「この子は英語が嫌いなんだ」
「英語が苦手なのかもしれない」
「向いていないのかな」
と考えてしまいます。
でも、少しだけ待ってみてほしいんです。
たとえば子どもが「ピーマン嫌い!」と言った場合。
実際に食べてみて、
「苦い」
「この食感が嫌」
と感じているなら、「ピーマンが嫌い」という理由は分かりやすいですよね。
でも英語の場合は、まだ英語そのものを十分に味わっていない段階で「嫌い」になっていることがあります。
嫌なのは「英語」ではなく、別のことかもしれない
たとえば、
・英語教室へ行くのが嫌
・遊びたい時間に習い事へ行くのが嫌
・何度も単語を書かされるのが嫌
・覚えるまで繰り返すのが嫌
・みんなの前で答えるのが嫌
・間違えるのが恥ずかしい
・親から英語で質問されるのが嫌
こうしたものが全部、
「英語やだ!」
という一言になっている可能性があります。
だから最初に考えたいのは、
「どうしたら英語をやらせられるか」ではなく、「この子は何を嫌がっているんだろう?」
ということです。
英語もピーマンも「調理法」を変えたら反応が変わるかもしれない
ピーマンをそのまま出して嫌がるなら、細かく刻んでみる。
煮てみる。
焼いてみる。
大好きな料理に入れてみる。
それなら食べられる子もいますよね。
ボクは英語も少し似ていると思っています。

ゲームなら正解、という話でもない
ここは誤解してほしくないところです。
「書くのはダメ。ゲームなら子どもは喜ぶ」
という単純な話ではありません。
ゲームもクイズもcraftも歌もダンスも、全部ただの「調理法」です。
書くことで覚えやすい子もいます。
文字でルールを整理すると理解しやすい子もいます。
歌やリズムで覚えやすい子もいます。
話すのは好きだけど、書くことは嫌いな子もいます。
年齢が上がると「もう歌って踊る英語じゃないでしょう」と思うこともあるかもしれません。
でもボクは、大人だって歌やリズムから入る方が覚えやすい人はいると思っています。
大切なのは年齢だけで方法を決めることではなく、
「この子なら、どんな調理法なら英語を一口食べてみようと思えるだろう?」と考えること。
だと思います。
「英語ができない」と思っていたら、ちゃんと話せていた子
英語学童を運営していると、子どもの英語について保護者の方から相談を受けることがあります。
ここで、実際の経験をもとにした一つのエピソードを紹介します。
※個人が特定されないよう、実際のエピソードをもとに一部設定を変更しています。
あるお母さんから、
「うちの子、全然英語を理解していないと思うんです。家で英語で聞いても返事もしなくて」
という話を聞いたことがありました。
ところが、その息子さんのところへ普段から接している外国人講師がやってきて、いつものように英語で質問しました。
すると、その子は質問を理解して、普通に英語で返事をしたんです。
「できるじゃん!」
という話なのですが、ボクはこれがすごく大切だと思っています。
家でお母さんに英語で聞かれたときに答えなかったことと、
英語を理解できなかったことは、同じではなかった。
もしかしたら「答えられるか試されている」と感じていたのかもしれません。
いつもの先生との会話では、英語は「答え合わせ」ではなくコミュニケーションだった。
誰と話すか。
どんな場所で使うか。
何のために英語を使うか。
それだけでも、子どもの反応は変わります。
英語を目的にしない方が、英語を使うこともある
現場でも、英語を書くことは嫌がるけれど、話すことは好きな子はいます。
普段の活動にはそれほど乗り気ではなくても、
「自分の好きなものについて話してみよう」
というスピーチになると、急にやる気が出る子もいます。
ゲームになると英語を使う子もいます。
そして、ボクが面白いと思うのがcraftです。
「作りたい」が先にあると、英語は手段になる
craftでは、
「英語を勉強しましょう」
が一番の目的ではありません。
「これを作りたい!」
という目的があります。
先生の説明を聞く。
必要なものを確認する。
色や形について話す。
分からなければ聞く。
その過程で英語を使います。
つまり、
英語を学ぶことが目的ではなく、やりたいことをするための手段として英語がある。
ピーマンをそのまま食べているのではなく、大好きな料理の中に入っているようなものです。

親が「調理法」を知っているほど、選択肢は増える
もし今通っている英会話を嫌がっているなら、
「やっぱりうちの子は英語に向いていない」
とすぐに決めなくてもいいと思います。
別の教室ならどうだろう。
オンラインならどうだろう。
ゲームなら?
フォニックスなら?
教材なら?
家で好きな動画を見るところからなら?
選択肢はいろいろあります。
親がいろいろな英語との触れ方を知っていれば、それだけ、
「この子にはこれが合うかもしれない」
を試せます。
続けるか迷ったら、違う方法を試してみてもいい
特にオンライン英会話などは、体験レッスンを用意しているサービスもあります。
一つ体験して子どもが嫌がったから、
「オンライン英会話は無理」
と決める必要もありません。
先生が変われば反応が変わることもありますし、レッスンの進め方や教材との相性もあります。
体験レッスンは「入会するサービスを決める試験」ではなく、
「うちの子はどんな英語なら楽しめそう?」を知る機会
として使ってもいいと思います。

そのほかにも、教材を変えてみる方法があります。

教材を使った会話中心の学び方なら、ボクが現場でも使ってきたLet’s Goについても紹介しています。

文字と音の関係でつまずいているなら、フォニックスから入り直してみる方法もあります。

小学生のうちは「パズルのピース」をたくさん集めてほしい
親としては、どうしても成果が気になります。
「いつになったら読めるの?」
「いつ書けるようになる?」
「英検は何級まで取ればいい?」
もちろん目標を持つことは悪いことではありません。
でも、
「いつまでに文章を読めるようになってほしいですか?」
「何年生までに、どこまで書ければOKですか?」
「英検は何級なら成功ですか?」
と具体的に考えてみると、実はそこまで明確な期限があるわけではない家庭も多いと思います。
それなら、そんなに急がなくてもいいのではないでしょうか。
小学生の英語は、完成させなくてもいい
ボクは小学生のうちは、英語の「パズルのピース」をたくさん集めてほしいと思っています。

単語を知っている。
聞いたことのあるフレーズがある。
歌で覚えている表現がある。
ゲームで何度も聞いた言葉がある。
先生との会話でなんとなく使っていた文章がある。
その時点で文法的に説明できなくても構いません。
中学生になれば、文法や5W1Hなど、英語の仕組みを論理的に学ぶ機会が増えていきます。
そのとき、
「なんだこれ。よく分からない」
から始めるのではなく、
「あ、この表現知ってる」
「前に使ったことある」
「そうか、あれはこういう仕組みだったんだ」
と、それまで集めてきたピースがつながったらいい。
ボクは、
文法を覚えてから会話する
という順番だけではなく、
会話や体験で英語に触れてから、あとで文法を知る
という順番があってもいいと思っています。

ボクが小学生の英語で目指したいのは「間違えても口に出せる」こと
では、小学生の英語で何を目指すのか。
英検○級でしょうか。
単語を何語書けることでしょうか。
英文をスラスラ読めることでしょうか。
もちろん、どれもできるようになれば素晴らしいことです。
でもボクが一番大切にしたいのは、
「間違えても、英語を口に出してみよう」と思えることです。
理由は二つあります。
世界では「完璧ではない英語」でもコミュニケーションしている
ボクは以前、カナダのモントリオールで生活していました。
さまざまな国や地域にルーツを持つ人たちが暮らし、それぞれの英語を使ってコミュニケーションしている環境でした。
日本にいたころのボクは、英語を間違えることが怖かったんです。
学校ではテストがあり、答えには○と×があります。
もちろんテストなら採点は必要です。
でも実際に海外で生活して、人と話してみると、それだけではありませんでした。
会話はどんどん進んでいきます。
伝える。
聞く。
分からなければ聞き返す。
言い直す。
そこで毎回、
「この文法で合っているかな」
と考えている時間はありません。
そこでボク自身、
「英語って、人とコミュニケーションするための道具なんだ」
と改めて感じました。
正しい英語を学ばなくていい、という意味ではありません。
文法だって大切です。
でも、
「正しい英語を身につけたい」と「間違えてはいけない」は別の話です。
ボクたちは英語のネイティブではありません。
間違えることだってあります。
だからこそ、間違えることを怖がって何も言えなくなるより、
「まず伝えてみよう」
と思える経験を、子どものうちにたくさんしてほしいと思っています。
学年が上がるほど「間違えるのが恥ずかしい」が出てくる
もう一つは、子どもたちを見ていて感じることです。
低学年のころは、外国人講師の発音をそのまま真似して、とても自然な発音で英語を口にしていた子がいます。
ところが学年が上がってくると、
「みんなの前でこの発音するの、ちょっと恥ずかしい」
「間違えたら嫌だ」
という気持ちが出てくることがあります。
中学生になるころには、以前できていた発音を、人前ではあえて日本語っぽく発音するようになる子もいます。
これは英語力がなくなったわけではありません。
周りの目を意識するようになったという成長の一面でもあると思います。
だからこそ、その前に、
「英語は間違えることもある」
「間違えても伝えてみていい」
という経験を積んでほしい。
ボクはそれが、小学生の英語で得られる大きな財産の一つだと思っています。
「英語が好きな子」にしなくてもいい
ここまで読んで、
「じゃあ、どうすれば英語を好きにさせられるんだろう?」
と思った方もいるかもしれません。
でもボクは、必ずしも英語を大好きにする必要はないと思っています。
算数が大好きな子もいれば、そうではない子もいます。
運動が好きな子もいれば、絵を描く方が好きな子もいます。
英語だって同じです。
英語が一番好きなものにならなくてもいい。
ただ、
「英語は嫌だから絶対やらない」
「間違えるのが怖いから話したくない」
となる前に、その子が食べられる「調理法」を一緒に探してみる。
ゲームかもしれません。
歌かもしれません。
craftかもしれません。
フォニックスかもしれません。
オンライン英会話かもしれません。
教材かもしれません。
英語学童かもしれません。
そして、その中で一つずつパズルのピースを拾っていく。
それでいいとボクは思っています。
まとめ|「英語嫌い」と決める前に、何を嫌がっているのか見てみよう
子どもが「英語やだ!」と言ったら、親としては焦ります。
せっかく始めたのだから続けてほしい。
将来困らないように英語を身につけてほしい。
そう思うのは自然なことです。
でも、そこでさらに書かせる、覚えさせる、やらせる方向へ進む前に、一度だけ考えてみてください。
「この子は、本当に英語そのものが嫌いなんだろうか?」
今の教室が嫌なのかもしれません。
書くことが嫌なのかもしれません。
人前で話すことが嫌なのかもしれません。
あるいは、まだその子に合う「調理法」に出会っていないだけかもしれません。
小学生の英語は、急いで完成させなくてもいい。
いろいろな英語に触れて、たくさんのパズルのピースを集める。
そして、
間違えても、とりあえず口に出してみる。
そんな経験を積み重ねて、中学生になったとき、
「ああ、あの英語ってこういうことだったのか」
とピースがつながっていけばいい。
英語嫌いと決めてしまう前に、
「うちの子なら、どんな英語なら一口食べてみたくなるかな?」
そんなところから、もう一度探してみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい|わが家に合う英語の始め方




